2010年07月19日 横浜スタジアム

桐光学園vs平塚湘風

2010年夏の大会 第92回神奈川大会 3回戦

先発・久保田(桐光学園)

桐光学園の強さを支える守備力

全国屈指の激戦区といっていい神奈川県。

数々の名だたる強豪が夏の甲子園出場の切符を争って激しい戦いを繰り広げられている。その中でいつも安定した実績を残しているのは桐光学園ではないだろうか。

今日、神奈川の大会誌を見て驚いた。2000年に入ってから昨年まで甲子園出場3回、準優勝2回、ベスト4入り3回その他にも春季大会、秋季大会で何度も優勝を経験しており、激戦区・神奈川の中でも実績を残しているのがお分かりいただけではないだろうか。

今年のチームは春季大会に優勝。大本命ではないが、上位進出が期待されるチームである。一方で、対戦相手の平塚湘風高校。2009年に神奈川県立神田高校と神奈川県立五領ヶ台高校の統合で開校した学校である。今年で二度目の夏を迎える。

平塚湘風の先攻で試合が始まった。

1回の表、平塚湘風の攻撃。ワンアウトから2番田島一輝(3年)がセンター前ヒットで出塁したが、後続を抑えられ、無得点に終わる。1回の裏、桐光学園の攻撃。先頭の藤島祏輔(2年)がレフト前ヒットで出塁。バントで送って、ワンアウト二塁のチャンスを作ったが、3番伊東和貴(2年)、4番佐々木駿(3年)が凡退し、無得点に終わる。しばらくは投手戦。

桐光学園の先発、久保田佳は2年生ながら多くの公式戦を経験している左腕。スピードは125キロ前後ぐらいだが、カーブ、スライダーをコントロール良く投げ分けていき、平塚湘風打線を抑えていく。平塚湘風の先発、永成凌(3年)も中々の好投手。豊かな体格から振り下ろすストレートは130キロを超えていそうで、そのストレートを外角にコントロール良く投げていき、桐光学園打線を抑えていた。3回まで無得点で、締まった好ゲーム。投手は良いだけに、相手のエラー、ミスを逃さずに点をもぎ取っていくかが勝負の分かれ目になりそうだ。つまり守りが乱れたチームの方が負けだ。

4回の裏、平塚湘風の守備が乱れる。4番の佐々木がショートのエラーで出塁。5番久保田はショートゴロ。ランナーが入れ替わって、ワンアウト一塁となって6番の鈴木賢輝(3年)がサードゴロ。ツーアウトになるかと思われたが、サード三浦蓮(3年)が大暴投。送球は一塁側フェンスに直撃。ただのエラーだけかと思われたが、ライトのカバーが遅れている。また送球がフェンス真ん中部分に当たり、ボールはセカンド方向に跳ね返る。ファーストがボールを捕りにいく間に久保田は三塁を蹴り、ホームへ。バックホームできず、久保田がホームイン。桐光学園が1点を先制する。平塚湘風は勿体ないプレーであった。

どうすれば防げていたか。それはカバーリング。この時は打者が右打者だったので、セカンドはカバーに入れない。そのためライトが全力疾走でカバーに入らなければならないものの、カバーが遅かった。というより動けていなかった。普通に止めていたらワンアウト1,3塁ぐらいになっていただろう。しかしピンチになっても点は取られていないのだ。ひとつのエラーで一気にホームに行かれるのは大いに反省しなければならない点である。

ここまで集中した投球を見せていた永成であったが、5回の裏、先頭打者に死球を与えると、ワンアウト二塁となって3番伊東がセンターへタイムリーヒット。4番佐々木はショートゴロ。ゲッツーを狙ったが、またも送球が乱れて佐々木は二塁へ。5番久保田が右中間を破るツーベースでさらに1点。そして6番鈴木のタイムリーで久保田がホームインし4対0とする。またも守備の乱れから余計な失点を招いた。

6回の表、平塚湘風の攻撃。2番田島がレフトの頭を越える二塁打でノーアウト二塁。3番船津陽太(3年)が送って、永成が右中間を破るツーベースで1点を返す。しかし6回の裏、桐光学園はノーアウトから8番三村光平(3年)がレフトを越える二塁打。ワンアウト三塁となって1番藤島が左中間を破るツーベースで1点を追加する。

7回の表、桐光学園は継投策。二番手に沼田昂也(3年)が登板。威力のある直球を交えて三者凡退。8回の表はエースの森大樹(3年)が登板。下級生から公式戦の登板を経験してきた森。スピードは130キロ~135キロとそれほど速くなくても投球は上手い。スライダー、カットボールをコントロール投げ分けていき、あっさりと平塚湘風打線を抑える。そして9回の表も三者凡退に締め、ゲームセット。桐光学園が4回戦進出を果たした。

両チームの差を分けたのは「守備力」だろう。ただ単に打球を処理するような目に見えるような守備力ではない。

まずキャッチャー佐々木のリード。打者の特徴を把握したリードで、3投手の持ち味を引き出す。そして常に野手の指示を怠らず、各野手が自分なりポジショニングを工夫していた。また捕ってから投げるまでの送球が速く、送球タイムは最高1.88秒を計測した。そしてカバーリングの徹底振りが凄い。全選手が全力で走ってカバーリングを行う姿はさすがだなと感じた。桐光学園の選手たちは個々の能力は優れた選手はいるものの、高卒プロを狙えるような圧倒的なポテンシャルを持った選手はいない。

しかしこういう「カバーリング」を手抜きせずに徹底し、その積み重ねが桐光学園の強さを支えているのではないだろうか。平塚湘風はエース永成をはじめ、まずまずまとまったチームであった。しかしカバーリングの意識はやや疎かで、だらっとした動きが見られる。桐光学園の選手たちのカバーリングを見て学ぶことは大いにあったはずだ。

(文=高校野球情報.com編集部)


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